直前々期(N-2期)

IPOの行方を占う直前々期(N-2期)

IPO準備のプロセスにおいて、上場申請を行う期を「申請期(N期)」といい、申請期の2期前の期を「直前々期(N-2期)」といいます。
監査法人が実施したショートレビューの結果を踏まえ、改善事項の明確化、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンス体制を含めた内部管理体制の整備、関係会社・関連当事者取引の整理を進めていきます。また、N-2期には、IPOに向けた会計監査が始まります。主幹事証券会社と契約し公開引受部門が関与するタイミングや内部統制報告制度(J-SOX)への着手もN-2期ごろが一般的です。上場企業としてふさわしい体制づくりに着手し、N-1期へとつなぐN-2期は今後の行方を占う期と言えるでしょう。

読み方はそれぞれ下記のようになります。

  • 申請期・・・・N期:エヌ
  • 直前期・・・N-1期:エヌマイナスイチ
  • 直前々期・・N-2期:エヌマイナスニ
  • 直前々々期・N-3期:エヌマイナスサン

IPOスケジュール モデルケース(3月期決算の場合)

IPOスケジュール モデルケース(3月期決算の場合)

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直前々期(N-2期) To Do List(一例)

To Do
  コーポレート・ガバナンス体制の強化
  コンプライアンス体制の整備
  主幹事証券会社の決定
  会計監査の対応(会計基準への移行)
  監査役会設置に向けた検討
  ディスクロージャーサービス会社の選定
  内部監査の実施

直前々期(N-2期)でコーポレート・ガバナンス強化の道筋をつくる

コーポレート・ガバナンス強化の必要性から、上場準備会社においても、監査役会の設置が求められています。上場審査のなかでは監査役会が適正に機能しているか等を確認するため、監査役会設置後、一定の運用期間を設ける必要があります。そのため、一般的には、N-1期には監査役会を設置することを求められます。なお、監査役会は3名以上で構成され、半数以上は社外監査役であることが必要です。その前段階として、N-2期までに取締役会を設置した場合には、会社法第327条2項により監査役の設置が必須になりますので、ご留意ください。
また、上場申請前に会計監査人の選任も必要です。監査法人による会計監査はN-2期から対象となることから監査契約が必要となりますが、N-2期やN-1期では会社法上の機関である会計監査人による監査ではではなく、金融商品取引法上の監査人に準じた、いわゆる任意監査(準金商法監査)となることが一般的です。これは会社法において上場会社は公開会社として会計監査人の設置を義務付けられており、非上場会社の場合は会社法上の大会社のみがその社会的影響度の大きさから会計監査人の設置が義務付けられていますが、それら以外の会社は義務付けられていないためです。

※大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上、または最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の株式会社を指します。

(ここでは全体像の理解のために、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社の場合の説明は割愛しています。)

このほか、業務遂行部門から独立した内部監査部門を設置し、社内の監視・自浄機能が効果的であるかを確認するための内部監査を実施することが求められています。ただし、小規模な会社で独立した部門設置が困難な場合は、複数の内部監査担当者を選任し、自己監査とならないようクロス監査を実施します。
さらに、組織運営に当たっては、業務や権限が適切に割り当てられるための組織規程や業務分掌規程、職務権限規程を自社の実態に合わせて整備する必要があります。こうしたルールはN-2期に整備・構築、N-1期に運用・改善され、申請前に一定の実績を積んでいる状態が望ましいでしょう。

直前々期(N-2期)に重要なコンプライアンス体制の整備は会社全体で

審査において法令の遵守(コンプライアンス)体制は重視される項目の一つです。とりわけ、労務については必ず確認が入りますので、社会保険の加入状況や未払残業代の有無状況などは、N-2期には確認しておきましょう。未払残業代については、過去3年間、かつ退職者も対象になるため特に留意が必要です。該当がある場合、主幹事証券及び社労士、弁護士等の専門家にも相談の上適切な対応を図る必要があります。
その他に、個人情報保護や情報セキュリティなど経営上のリスクが高い項目についての管理体制も整備が必要です。
知的財産の管理体制も留意したいポイントです。例えば、同名の上場会社が存在していて、その会社が社名の商標権を所有している場合などは、申請前までに社名変更等の対応が必要になりますので、早めに確認をしておくことをお勧めします。

なお、N-1期に重大なコンプライアンス違反が発見されると、その調査や対応、改善運用期間を取る場合もありますので、上場が延期となる可能性が高くなります。そのため、早期に役員・従業員の意識向上を目的とした研修・教育を継続して実施することが望ましいでしょう。

直前々期(N-2期)におけるIPO成功のための注意事項

●申請書類の準備は早めが吉 専門の印刷会社(ディスクロージャーサービス会社)との連携
IPO審査時に提出する申請書類、募集・売出の際の有価証券届出書、目論見書などの上場に関する書類の作成には、専門知識が必要です。IPOに当たっては、こうした知見を持つ専門印刷会社(ディスクロージャーサービス会社)にサポートを依頼することとなります。ディスクロージャーサービス会社の選定時期は、N-2期ごろが望ましいです。
上場後もディスクロージャーサービス会社の決算開示支援システムを導入することになるので、IPO準備の段階から決算開示支援システムを導入し、会計システムと連携しておくことといった決算財務報告プロセスを確立しておくことも必要です。
なお、申請書類作成は、申請期にまとめて作成する訳ではなく、N-1期に証券審査に向けて作成し、主幹事証券会社の引受部門の指導を受けながら完成させたものを用いて証券審査を受けることになります。証券審査を経て、取引所審査までに、適宜加筆・修正したうえで、申請期を迎え、年度の変更に伴う修正のみ加えて仕上げるのがスムーズでしょう。

響きパートナーズでは、コーポレート・ガバナンス・コード対応や内部監査のご支援において豊富な実績がございます。また、主幹事証券会社やディスクロージャーサービス会社のご紹介も承ります。
貴社のIPOに向けて、包括的にサポートをいたしますので、ぜひご相談ください。

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