情報・通信業

社内規程の策定、運用、見直し

内部監査

J-SOX体制の構築、運用

新会計基準(収益認識基準等)への対応

決算開示、開示体制構築

事業計画の策定

株価算定、価値評価

上場申請書類(Ⅰの部、Ⅱの部、各種説明資料、発行者情報)の作成

事業計画及び成長可能性に関する事項の作成

証券審査、取引所審査対応

株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパン

業種
デジタル資産管理を核に、コンテンツの制作・管理・配信を支援するDX事業を展開
都道府県
東京都
上場市場
2025年3月 東証グロースへ新規上場
従業員数
58人(支援当時)

支援項目

内部管理体制構築に係る全般支援および監査役監査支援、株価算定、上場申請書類および開示書類の作成、上場審査対応などを支援いたしました。

Q1.御社のビジネスを教えてください。 

私たちはデジタルアセットマネジメント「DAM」を中核技術とし、媒体やコンテンツの制作・管理・配信を支援するDXソリューション事業を展開しています。

当社が自社開発した「CIERTO」は、国内唯一のDAMとPIMを統合したソリューションであり、Webサイト、ECサイト、SNS、カタログ、映像、出版物など、多様な媒体・コンテンツ制作の生産性向上とブランディング強化を支援します。

主力の「CIERTO DAM」は、静止画、動画、音声、テキストなど、コンテンツ制作に必要なあらゆるデジタル資産を一元管理するDAMソリューションです。マルチチャネル配信に対応し、ブランドマネジメントの強化と、制作プロセスの効率化を実現します。
2016年にローンチした「CIERTO PIM」は、「CIERTO DAM」と連携して最新の商品情報や関連情報を統合管理。EC、Web、カタログなどの各種販促媒体・デバイスへの、スムーズな情報配信を可能にします。

「CIERTO」は、お客様のニーズや課題に応じた柔軟なカスタマイズにも対応しています。クラウド型・オンプレミス型といった導入形態を選択できるほか、当社代理店製品「APROOVE WM」や「WoodWing Studio」と「CIERTO DAM」をAPI連携させ、より快適な制作環境を構築することも可能です。

現在「CIERTO」は、流通・小売、製造、建設、情報・サービス、印刷、映像、出版業界など、幅広い業界の大手企業を中心に250ライセンスを超える導入実績を誇ります。コンサルティングから導入支援、教育、運用サポートに至るまでワンストップで対応し、各業界のDX推進と業務効率化に貢献しており、国内市場で着実な成果を上げています。

Q2.新規上場を目指すに至った経緯を教えてください。

2021年6月ころより、(代表取締役・三村の発案をきっかけに、)本格的にIPOの検討を開始しました。その背景には、「CIERTO DAM」の導入が順調に拡大し、大手企業を中心に採用が進むなど、事業成長が加速していたことがあります。
当社は1994年の創業以来、印刷・出版、放送・映像といったマスメディア業界を中心に、コンテンツ制作現場向けのシステムを提供してきました。しかし、インターネットの普及やスマートデバイスの登場により、企業のプロモーション活動やコンテンツ活用の場はWeb、EC、SNSなど多様なデジタル媒体へと拡大。それに伴い、当社の顧客層もマスメディアから一般企業へと広がっていきました。

市場の広がりとともに、新たな課題も顕在化しました。従来は製品力や業界内での知名度が営業活動を後押ししていましたが、一般企業向け市場では知名度が十分でないため、受注までのリードタイムが長期化する傾向が見られるようになりました。さらに、海外DAMベンダーの日本市場参入も進み、「CIERTO」の拡張機能である「PIM」の製品開発をいっそう加速する必要性が高まっていました。
こうした市場環境の変化に対応し、企業としての信用力や製品の認知度を高めるとともに、開発・営業体制の強化を図るうえで、IPOは極めて有効な手段であると判断しました。

また、「DAM」を中核とした周辺技術の開発・展開を進めていくにあたり、優秀なエンジニアやクリエイティブ人材の確保は不可欠です。IPOによって企業の魅力や採用力を高め、必要な人材の獲得につなげていくことも、上場を目指す大きな目的のひとつでした。

Q3.響きパートナーズを知ったきっかけを教えてください。

IPO支援会社をインターネットで検索するなかで、貴社のWebサイトを拝見しました。丁寧なコンサルティングを提供されているとの評判を目にし、高品質なご支援が期待できると感じて、面談をお願いしました。

当社にはIPO経験者が不在だったため、支援会社の選定にあたっては、IPO実現までの道筋を明確に示し、初動の進め方や全体の段取りを的確にリードしていただける点を重視しました。あわせて、基本的な質問にも丁寧にご対応いただけるかどうかを、重要な選定基準としておりました。

複数社とお話をするなかで、貴社では専任のコンサルタントが担当し、IPOに関するあらゆる領域をワンストップでサポートしていただける点に大きな魅力を感じました。

Q4.どのような課題やお困りごとがありましたか?

未経験からのIPO準備は、To Doの洗い出しからまさに手探りのスタートとなりました。なかでもとくに大きな課題だったのが経理分野です。通常業務と並行して、税務会計から金融商品取引法等に準拠した制度会計への移行に加え、経理業務の内製化も進める必要があり、その過程で業務負荷の大きさを痛感する場面が多くありました。
とりわけ2021年決算に向けては、償却処理をはじめとする高度な会計対応が求められ、会計処理の細部まで適切な判断を要する場面が増加しました。それまで税理士に一部委託していた業務も、月次決算を含めて社内完結できる体制への転換が求められ、さらに決算早期化への対応も必要となるなど、多面的で複雑な課題に直面しました。
人員面でも、ひとりで担っていた会計業務の限界が明らかになり、体制強化のための人材採用が不可欠となりました。ただし、即戦力を採用するのではなく、社内バランスを考慮して、若手未経験者を採用する方針をとったため、育成にも一定の時間を要しました。
さらに、N-2期以降は監査法人とのやり取りも始まり、IPOや会計に関する専門用語や要求事項への理解が追いつかず、戸惑う場面も多くありました。
こうした状況下で、IPO準備と経理内製化という2つのテーマを限られた人員で進めていくことは多くの困難が伴いましたが、内製化を目指す上で避けられないプロセスであったと感じています。御社にはN-2期からご支援をいただき、監査法人とのやり取りにおいても専門的な内容をわかりやすくご説明いただき、大変助かりました。

Q5.響きパートナーズを選んでいただいた理由を教えて下さい。

私たちが、IPO支援会社にもっとも期待していたのはスピード感でした。たとえば、急ぎの質問を投げかけた際、即座にご対応いただけるかどうかによって、準備の進捗に大きな差が生じる可能性があります。そのため、迅速で的確な対応、そして企業の立場に寄り添う姿勢があるかどうかは、支援会社を選定するうえで重要な判断基準でした。

IPO準備の初期段階では、「なにをどのように支援していただくべきか」が明確ではなく、「なにもかも相談したい」という状況にありました。そうしたなか、貴社コンサルタントの岡本さんと熊谷さんは、初回のお打ち合わせにもかかわらず、当社の話に丁寧に耳を傾け、課題を一つひとつ整理したうえで、必要な支援を適切な順序でご提案くださいました。その姿勢に、当社一同、大きな安心感と信頼を覚えました。また、ご担当のお二人の誠実で温かな人柄にも強く惹かれ、「この方たちとなら、一緒に進めていける」と感じ、貴社にご依頼することを即決いたしました。

2022年9月の契約締結以降、貴社にはⅠの部をはじめ各種説明資料の作成から、審査対応に至るまで幅広くご支援いただきました。また、ご支援いただく中で担当パートナーが岡本さんから城戸さんへ変わりましたが、熊谷さんとともに引き続き手厚いご支援と迅速で的確な対応をしていただけました。現在も会計関連に関する助言やJ-SOX対応の強化など、継続的にご支援をお願いしておりますが、そのたびに「響きさんにお願いして本当によかった」と実感しております。

Q6.響きパートナーズの支援業務について、特に満足いただけことを教えて下さい。

IPO準備というタフな局面において、貴社には単なる外部支援者を超え、まさに「同じチームの一員」として並走いただきました。審査段階の課題集中や逼迫したスケジュールのなかでも、常に機動的かつ柔軟にご対応いただき、大きな安心感を得られました。専属コンサルタントの方からは、IPO全体を俯瞰した的確なアドバイスを一貫していただき、また経理面では、365日いつでも相談できるほどの手厚いサポートのもと、実情に即した助言をいただけたことで、内製化体制の構築と上場後の安定運営を実現することができました。
なかでも公認会計士資格を持つ熊谷さんには、短期間で当社の業務を深く理解いただいたうえで、社内規程の整備に至るまで多大なご尽力を賜り、感謝の念に堪えません。貴社の支援は理論だけにとどまらず、現場に根差した現実的な解決策をともに考えてくださる、まさに上場を目指す企業にとって心強いパートナーであると実感しています。

担当者へのメッセージ

松本様:
IPO支援は、膨大な業務量やスピード対応が求められる、極めてハードな領域だと認識しております。そのなかで貴社は、当社の立場や事情を深く理解し、「仲間」として寄り添いながら、伴走してくださっていると感じました。熊谷さんはじめご担当の方には、当社の社員と言っても過言ではないほど深く関わっていただき、本当に感謝しております。

三村様:
経理の内製化を進めたことにより、上場後もスムーズな運営体制を維持できていますが、この基盤を私一人で築くことは到底できなかったと感じています。
とくに、公認会計士資格をお持ちの熊谷さんには、限られた時間のなかで多大なご支援をいただきました。当社の業務内容を深くご理解いただいたうえで、常に実情に即した的確な助言をくださり、それを基に現在の社内規程を整備することができました。熊谷さんとともに、確かな会計体制を築き上げられたことに、心より感謝申し上げます。

Q7.御社の今後の展望や野望をお聞かせ下さい。

2025年3月25日のIPO達成にあたり、当社システムをご利用中のお客様からも、多くの好意的な反響を頂戴しました。
当社はプライムコントラクターとしてお客様と直接向き合い、システムそのものにとどまらず、サポート体制や営業・SEの対応などを含めた企業全体の価値をご評価いただいています。こうした信頼関係のもとで上場を実現できたことは、当社の信頼性や継続性を改めてお客様に実感いただく契機となり、大きな安心感につながったものと受け止めております。
また、上場による知名度やブランド力の向上は、採用活動にも好影響をもたらし、応募数の増加や内定辞退率の改善といった具体的な成果が現れています。社員にとっても、グロース市場という成長志向のステージに参画できたことは、大きな自信と誇りにつながりました。「全社一丸で実現した」という達成感に加え、「パブリックカンパニーとしてふさわしい組織を築いていこう」という意識も社内に根づきつつあります。
IPOは、当社の成長にとって極めて意義深い決断であり、御社からの多大なご支援に、改めて心より感謝申し上げます。

当社は1997年からDAMシステムの販売・開発に携わり、長年にわたる知見と実績を活かして、自社開発製品「CIERTO」やその周辺製品を展開してまいりました。
今後は、既存事業の基盤を大切にしつつ、これまで十分にアプローチできていなかった業界への展開を強化していきたいと考えております。コンテンツ制作やブランディング管理に対するニーズは、業種や企業規模を問わず広く存在しており、当社のソリューションは多様なニーズに対応できる柔軟性と汎用性を備えています。
この強みと、上場企業としての信用力を活かしながら、エンタープライズ企業から中堅企業まで幅広いお客様に高品質なソリューションをご提供し、さらなる導入拡大を目指します。あわせて、営業・開発体制の強化や外部ベンダーとの連携も進め、持続的かつ確実な成長を実現してまいります。

 

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