ロードショー

ロードショーとは

ロードショーとは、上場承認を受けた会社(以降、「発行体」)が、機関投資家にエクイティ・ストーリーを伝える説明会のことを指します。
発行体の経営陣が対面やオンライン等で機関投資家と面談し、自社への理解を深めてもらうことで機関投資家にIPOへの参加を促すほか、ロードショーで得たフィードバックは公募・売出価格(以降、「公開価格」)決定における参考材料になります。IPOのマーケティングにおいて、最も重要なプロセスといえるでしょう。

ロードショーの流れ

ロードショーは、上場承認から仮条件を決定するまでの間およそ10日~2週間で行われます。

上場承認後の一般的なIPOのスケジュール

上場承認後の一般的なIPOのスケジュール
上場承認後の一般的なIPOのスケジュール

※上図は国内オファリングのIPOの一般的な日程であり、発行体により異なります。グローバル・オファリングの場合は複数のチームに分かれて各国でロードショーを実施するなど、訪問件数と期間ともにボリュームアップします

※IPOの価格決定方法には「ブックビルディング方式」「競争入札方式」の2種類がありますが、現在はブックビルディング方式が主流であるため、上図においてもブックビルディング方式を前提としております

ロードショーは、発行体の主幹事証券会社が主導して行われます。機関投資家20~50件程度と面談することが一般的で、一日当たりでは3~5件程度です。面談には発行体の経営陣のほか、主幹事証券会社も同行します。訪問先の決定に当たっては、主幹事証券会社が投資性向や投資セクターなどから判断するケースが一般的で、機関投資家へのアポイントも調整します。面談当日は、機関投資家1件につき1時間程度の枠を取り、前半は会社からのプレゼンテーション、後半は質疑応答という流れです。こうした一対一の面談のほか、発行体によっては「ラージ・ミーティング」と呼ばれる大人数の投資家向けの説明会を行うことがあります。ラージ・ミーティングは、ロードショーが一巡したのちに対面かオンラインで開催され、参加者は数十~100社ほど、投資家のほかに証券会社のセルサイド・アナリストなども参加します。

ロードショーの目的

ロードショーを行う目的は大きく2つあります。一つ目は、機関投資家が発行体のIPOに参加してくれるよう、自社をアピールすることです。ロードショーでは、事前に主幹事証券会社と作り込んだエクイティ・ストーリーを機関投資家に伝えます。このエクイティ・ストーリーには、発行体の事業内容や特長、業績、財務状況、今後の成長戦略を盛り込みます。

二つ目の目的は、公開価格決定に向けて機関投資家の意見を得ることです。ロードショー後、機関投資家は目論見書に記載された想定発行価格に対する意見や、発行体に対する評価点及び懸念点を主幹事証券会社にフィードバックします。そのフィードバックを参考に主幹事証券会社と発行体は「どのくらいの株価なら販売できそうか」を検討し、仮条件を決定します。仮条件は一般的に「●●●円~●●●円」という価格帯で設定し、目論見書の訂正として投資家に開示され、投資家は、その価格帯をもとに需要価格や購入を希望する株数を申告します。この申込状況から、発行体株式に対する投資家の需要が高い場合は、公開価格を仮条件の上限額で設定しよう、といった判断をすることができます。逆に需要が低い場合は、想定発行価格が割高とみなされていることを意味するため、仮条件の下限額または下限に近い金額で設定されることとなります。

※想定発行価格とは
想定発行価格とは、上場承認時の目論見書に記載する「投資家が買ってくれそうな株価」のことで、これをもとに仮条件や公開価格を決定します。
IPOの価格決定のプロセスは、想定発行価格の設定に始まります。想定発行価格は、主幹事証券会社が発行体と類似した業態の会社の株価や発行体の財務状況等を勘案するなどして算出した理論価格から、IPOディスカウントを考慮したうえで、発行体と協議して決定されます。このほか、主幹事証券会社は、事前に機関投資家に対して需給の見込みに関する調査(プレヒアリング)を行うこともあります。
想定発行価格は有価証券届出書や目論見書に記載され、この価格をもとに販売活動がスタートされます。ロードショーの結果を受けて仮条件が決定したのち、機関投資家及び個人投資家からの需要申告を受け公開価格が決定されます。なお、このように投資家の需要状況を積み上げて、その結果をもとに価格を決定する方法を「ブックビルディング方式」といいます。

ロードショーに向けた準備

ロードショーは価格形成に大きな影響をもたらすことから、機関投資家からポジティブな評価を得たいところです。限られた時間で経営陣が的確に自社の魅力を伝え、機関投資家の理解を得るために、エクイティ・ストーリーの作り込みやロードショー時に使用する資料(以下、「ロードショーマテリアル」)の作成、質疑応答への備えが重要になります。ロードショーマテリアルの内容は目論見書の記載と整合させる必要がありますが、記載事項は金融商品取引法で定められていますので、作成にあたっては、必ず主幹事証券会社や弁護士のチェックを受けましょう。また、ロードショーマテリアルの内容は、ロードショーで機関投資家から受けた質問や反応を参考にしながら、加筆修正を加えていくことも可能です。

ロードショーの本番前にはメインスピーカーである社長の予行演習や、機関投資家からの質問にスムーズに回答するための模擬質疑応答なども行います。先述の通り、ロードショーマテリアルの記載内容には制限があり、フェア・ディスクロージャーの観点からもロードショー当日に伝えてもよい情報、伝えることができない情報があります。こうした制約を踏まえて当日に向けて準備していくことが重要です。

響きパートナーズでは、ロードショーマテリアルの作成ご支援、
ロードショー対応において豊富な実績がございます。
貴社のIPOに向けて、包括的なサポートも可能ですので、ぜひご相談ください。

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響きパートナーズ株式会社

響きパートナーズは、IPO支援を行なうコンサルティング会社です。ベンチャー企業の経営支援・IPO支援のプロフェッショナルとして、毎年、国内で上場する企業のおよそ10社に1社をご支援しています。当社では、IPOに関する課題をお持ちのお客様に、アドバイスだけでなくコンサルタントが実際に手を動かして、課題解決に向けて伴走支援いたします。

監修者

井熊 実

野村證券公開引受部、㈱エイチ・アイ・エス上場準備PJ統括、エイチ・エス証券取締役、事業会社取締役、SBI証券執行役員などを歴任し、2021年に響きパートナーズに参画。取締役パートナー。

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