エネルギー

社内規程の策定、運用、見直し

J-SOX体制の構築、運用

内部監査

上場申請書類(Ⅰの部、Ⅱの部、各種説明資料、発行者情報)の作成

証券審査、取引所審査対応

デジタルグリッド株式会社

業種
電力及び環境価値取引プラットフォーム事業
都道府県
東京都
上場市場
2025年4月 東証グロースへ新規上場
従業員数
58人(支援当時)

支援項目

社内規程の整備および内部統制に係る支援(内部監査、JSOX体制構築)、上場申請書類の作成、上場審査対応を支援いたしました。

Q1.御社のビジネスを教えてください。

私たちは「エネルギーの民主化を通じて人類を豊かにする」というミッションのもと、電力取引の仕組みを根本から変革する事業に取り組んでいます。「電力を生む発電家」と「電力を使う需要家」が直接売買できる「デジタルグリッドプラットフォーム(以降、「DGP」)」を中核に、次世代の電力インフラを構築し、人と地球にやさしい再生可能エネルギーのスタンダード化を目指しています。

DGPは、日本初の民間企業による電力取引市場として、2020年2月から商用運営を開始しました。IoTやAIなどの先端技術を活用し、取引管理、発電・需要予測、発電・需要計画提出、料金換算、需給マッチングといった一連のプロセスを自動化しています。これにより、企業は電源の種類や調達方法、価格を柔軟に選択できるようになり、電力コストの最適化と再生可能エネルギーの導入が加速しています。
現在では、大手企業をはじめとする全国4,500拠点以上で導入されており、再生可能エネルギーの調達手段として高く評価されています。

当社ではDGP以外にも、非化石証書の代理調達サービス「エコのはし」や、日本初のバーチャルPPA特化型オークションサイト「RE Bridge」、系統用蓄電池運開後の運用をワンストップで実現する「蓄電池アグリゲーションサービス」など、多様なプロダクトを展開し、企業のカーボンニュートラル推進や電力コスト削減を支援しています。

当社は、日本でも数少ない「CDP認定再生可能エネルギープロバイダー」として、国際的な環境NGO団体「CDP」にも認定されています。「電力のインターネット化」を通じ、分散型かつ持続可能なエネルギー社会の実現に向け、挑戦と革新を続け、「エネルギーの民主化」を実現する所存です。

Q2.新規上場を目指すに至った経緯を教えてください。

当社は、東京大学の寄付講座を原点として2017年に設立され、創業当初から上場を視野に入れて事業を推進してきました。
2020年の分散型電力取引プラットフォームであるDGPの商用ローンチを契機に、企業としてさらなる成長を遂げるためには社会的信用と認知度の向上が不可欠であると考え、2022年4月に本格的にIPO準備を開始しました。
上場に向けては、内部管理体制の強化やガバナンスの整備、財務情報の透明性向上に取り組むとともに、収益基盤の強化とプラットフォーム事業の拡大に注力しました。特に、持続的な売上の確保は、上場達成に向けた重要な課題として強く意識していました。
さらに、準備を進める過程で、新たな成長戦略の一環として蓄電池事業にも着手しました。日中の余剰電力を蓄え、夜間に供給する仕組みにより、電力の効率的な活用が可能になります。この技術は、日本が直面するエネルギー問題の解決に貢献し得ると捉えており、上場を機に、蓄電池領域への投資を積極的に推進していく方針を固めました。
このように、創業時からのビジョンに沿って、社会課題の解決と企業成長の両立を目指し、上場という節目に向けて着実に歩みを進めていきました。

Q3.響きパートナーズを知ったきっかけを教えてください。

響きさんを知ったきっかけは、当社執行役員が参加していた会計士の集まりで推薦いただいたことでした。その場には、響きさんの代表の方とお仕事をされた経験のある方も同席されていたのですが、響きさんの評判が良かったこともあり、そのご縁からお問い合わせしました。

当初は、IPO支援会社になにを依頼すべきかが明確でなかったため、まずは信頼できるルートをたどりながら、IPOに詳しい方々に話を伺い情報収集を進めていきました。複数社のサービスを比較・検討するなかで、具体的なご説明を受けたのは、響きさんを含めて5社ほどでした。各社それぞれに強みや支援範囲の違いがありましたが、響きさんの提供するサービスは当社のニーズに最も適していると判断し、上場準備において最適なパートナーであると確信しました。

Q4.どのような課題やお困りごとがありましたか?

人的・時間的リソースの不足が大きな課題でした。
当社のIPO準備に携わったメンバーは、当社代表取締役を含む4名程度からスタートし、最終的には8名体制に拡充しました。また、現在ではバックオフィスに20名近い人員がおりますが、上場準備を開始した当時はその半数にも満たず、なかでも、上場準備担当者であった執行役員が法務・人事などの業務を担いながら、並行して上場準備を進めるのは難しいと感じていました。とりわけ内部監査については、社内に経験者がいなかったことから、専門的支援が不可欠だと強く感じていました。

響きさんとの契約締結後は、IPOの実現に向けて優先すべき事項や、実務に即した具体的なご助言を多数いただき、とても助かりました。限られた人員体制ではありましたが、当社内にIPO支援経験を有するメンバーもいたため、響きさんからのご指導を取り入れながら、準備を着実に進めることができたと感じています。
特に内部監査については、社内対応だけでは相当な負荷が予想されましたが、響きさんのきめ細かなご支援により、作業負担や時間的コストを大きく軽減することができ、非常に有意義であったと実感しています。

Q5.響きパートナーズを選んでいただいた理由を教えて下さい。

IPO支援にあたっては、幅広く情報を収集し、社内で慎重に協議を重ねたうえで、最終的に響きさんとの契約を決定しました。
依頼の決め手となったのは、IPO支援に関する深い知見と、豊富な実績です。特に、電力関連企業の支援実績があることに、当社との高い親和性を感じました。業界への理解があるからこそ、当社の特性を踏まえ、実践的で効果的なご支援が期待できると確信しました。
また、毎年着実に上場支援を行い上場に導いており、常に最新のIPO動向を把握されている点にも、大きな信頼を寄せました。こうした点は、響きさんならではの強みであり、当社にとって最適なパートナーであると判断しました。
さらに、初回面談で(かつその後もご担当となった)伊東さんが、当社の質問に対して的確かつ迅速にご対応くださったこと、そして誠実で丁寧なお人柄にも触れ、安心してご支援をお願いできると感じたことも決め手の一つでした。

Q6.響きパートナーズの支援業務について、特に満足いただけことを教えて下さい。

<財務ご担当>
「上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」など専門性の高い資料作成において、響きさんの的確なリードと助言により、限られたリソースでも高品質な成果物を作成できました。特に、ゼロから手探りで進めるのと、適切なナビゲーションを受けながら進めるのとでは、完成度に大きな差が出ることを実感しました。
審査対応では、短期間に大量の質問に対応する必要がありましたが、響きさんのサポートでわかりやすい資料を整理・提出でき、「(公開引受からの)修正指示が少ない回答」として主幹事証券会社からも非常に高い評価をいただきました。常に先回りしたご支援により、準備を円滑に進められたことに深く感謝しています。

<人事責任者>
当社では内部監査をする側もされる側も経験者が少なく、初めは「厳しい指摘があるのでは」と構えていましたが、響きさんのご担当のお二人は常に当社の立場を尊重し、事業理解を踏まえたうえで、実行可能な改善策までご提案くださいました。その実務的かつ前向きなご支援に、大きな安心感を得ました。
私は前職でも支援会社とやり取りした経験がありますが、響きさんのご対応は非常に丁寧で、監査進行やサポートの質にも大きな違いを感じました。特に門倉さんには迅速にご対応いただき、伊東さんには常に冷静かつ的確な助言をいただきました。お二人をはじめとした響きさんの皆さまに、心より御礼申し上げます。

<執行役員(上場準備ご担当)>
N-1期およびN期も、特段の修正なく滞りなく完了でき、響きさんの伴走支援の大きさを改めて実感しました。多くの関係者に支えられたなかでも、響きさんの丁寧かつ実務的なご支援は特に心強いものでした。
IPOという大きなプロジェクトを安心して進められたのは、響きさんの皆さまのお力添えがあってこそだと感じています。
誠にありがとうございました。

Q7.御社の今後の展望や野望をお聞かせ下さい。

2025年4月のIPOは当社にとって一つの大きな節目でしたが、上場はあくまで通過点であり、現在はすでに次のステージに向けた取り組みを進めています。株価という外部指標が日々変動するなかでも、私たちは変わらず地に足をつけ、目の前の仕事に丁寧に向き合い続けることの重要性を実感しています。
上場によって社員やそのご家族の安心感が増し、組織全体として一段上のステージへ進んだ手応えがあります。また、採用面ではエントリー数の増加など、企業としての信頼性向上がポジティブな効果をもたらしています。特に今後の事業成長に不可欠なマネジメント層の採用において、上場企業であることは大きなアドバンテージになると捉えており、今後の採用戦略の中でも活かしていきたいと考えています。
一方で、上場を機に社内ではさらなる挑戦への機運が高まり、むしろ上場前以上にベンチャーらしい熱量が戻ってきたと感じています。人員の拡充により取り組める領域も広がり、柔軟性と成長余地の両面で新たな可能性が生まれています。
私たちが構築する電力取引プラットフォームは、再生可能エネルギーの普及や脱炭素社会の実現を支えるインフラでもあります。その社会的意義を胸に、まずは足元の計画・予算を着実に積み重ね、求められる成果を一つずつ実現していく所存です。その先には、株式時価総額1,000億円やグローバル展開といったさらなる挑戦が待っています。今後も、知名度だけでなく社会的インパクトを広げる企業を目指して、着実に歩みを進めていきます。

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